日鉄興和不動産が推進するマンション建替え事業とは?

コラム:建築費の高騰とアセットの新たな形態
デベ内定までの道しるべ 2025.06.14
誰でも

日鉄興和不動産が推進するマンション建替え事業とは?

お疲れ様です!

本日は日鉄興和不動産のマンション建替え事業をピックアップしてみます。

日鉄興和不動産を志望する方は必見です!会社案内にも下記の通り記載がありますね。

時代に先駆けてマンション建替え事業を行ってきた日鉄興和不動産ですが、

最近では不動産デベロッパー各社がマンション建替え事業を推進する動きが見られますね。

その背景には、様々な要因がありますが、

まずひとつは「老朽化したマンションの増加」が挙げられます。

1960~70年代に建設されたマンションが築50年を超え、老朽化が進行しています。

耐震性の問題や設備の劣化が顕著になり、安全性や居住性の維持が難しくなっています。

もうひとつは「都市部での土地活用ニーズの高まり」です。

都市部では人口集中が続き、住宅需要が高い状況です。そんな中、都心の一等地では土地の奪い合いとなり、すでにどこかしらのデベロッパーが検討している、、、なんてことも。

古いマンションを建替えて、容積率の活用を最大化することで、居住可能な住戸数を増やすことが可能です。

とはいえ、誰もができる事業ではないのも事実です。

本日は、実際に日鉄興和不動産が推進する事例をピックアップし、その難しさや将来性についてご紹介いたします!

権利変換を用いた地上権マンションの所有権マンションへの建替え「高輪ビルマンション建替組合」設立

① 本リリースの概要・ポイント

「高輪ビルマンション建替組合」の設立は、東京都港区高輪において、地上権を持つマンションを所有権マンションに建て替えるという重要なプロジェクトに関する発表です。

具体的には、高輪ビルマンションの住民たちが「建替組合」を設立し、地上権を所有権に変換するという手続きを進めるという内容です。

この取り組みは、長期にわたり築年数が経過した地上権マンションの再開発を目指し、土地や建物の価値向上を図るもので、東京都心の再開発プロジェクトとして注目されています。

ポイントとしては、以下が挙げられます:

  • 地上権から所有権への変更: 高輪ビルマンションは地上権という特別な権利形態に基づいていますが、建替えに伴い、地上権を所有権に変換する手続きを進めています。これにより、マンション所有者が権利をより明確に持つことができます。

  • マンションの建替え: 現行の建物は老朽化しており、耐震性などの問題を抱えています。建替えによって、住民の安全や快適性が向上し、資産価値も増すことが期待されます。

  • 組合設立: 「高輪ビルマンション建替組合」の設立は、住民による共同での取り組みであり、建替えプロジェクトを円滑に進めるための重要なステップとなります。

このように、地上権を所有権に変換してマンションの建替えを行うことは、個別の住民にとっても地域にとっても非常に大きな影響を与える取り組みです。

② 不動産業界におけるマンション事業の位置付け

不動産業界においてマンション建替え事業は、非常に重要な位置を占めています。

特に都市部における需要の高まりや、人口の集中が進む中で、マンションは住宅供給の主力となります。また先述した通り、なかなか土地取得が難しい状況にあります。(某地面士でも、”土地を奪い合うのがデベロッパーの仕事だろ!”とクリティカルなことをおっしゃってましたね。笑)

  • 都市部の需要: 特に東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、土地不足が深刻化しており、高層マンションが重要な住宅供給手段となっています。都心部においては、住居だけでなく、オフィスや商業施設と一体化した複合用途のマンションも増えており、都市の形態に大きな影響を与えています。

  • 需要の多様化: 近年では、単身世帯やDINKS(共働き夫婦)の増加により、1LDKや2LDKといったコンパクトなマンションの需要が増加しています。また、高齢化社会に対応するためのバリアフリーや介護施設と連携したマンションの需要も高まっています。

  • マンション事業の経済規模: マンション事業は非常に大規模な市場であり、建設業界、金融業界(住宅ローン)、リフォーム業界、さらには管理・運営業務を含めた関連産業の発展を促進しています。マンションの開発や販売、賃貸市場においても重要な役割を果たしており、経済全体に対する影響も大きいです。

③ 地上権マンションの所有権マンションへの権利変換とは?難易度は?

地上権マンションとは?

地上権マンションは、土地の所有権は別にあるものの、その土地に対して一定期間、建物を所有する権利があるという形態のマンションです。例えば、土地を借りて、その上に建物を建てて住むという形態です。この地上権は通常、長期間(数十年から100年以上)に渡り契約され、契約終了後は土地を所有する権利が貸主に戻ります。

所有権マンションへの権利変換

地上権マンションを所有権マンションに変換することは、地上権をもつ住民にとって大きなメリットをもたらします。所有権に変換することで、土地を含む不動産を完全に所有することができ、資産価値が向上します。権利変換の手続きには、主に次のようなステップが含まれます:

  • 契約の変更: 地上権者(マンションのオーナー)と土地の所有者(地主)との間で、新たな契約を結び、地上権を所有権に変えるための合意を得る。

  • 財産評価: 変換にあたって、土地の評価額や建物の価値などを評価し、適切な取引条件を決める必要があります。評価額に基づいて費用や分担の調整が行われるため、このプロセスは専門的な知識を要します。

  • 法的手続き: 土地権利の変更に関わる法的な手続きを進める必要があり、場合によっては行政の許可を得る必要もあります。

難易度

地上権から所有権への権利変換は非常に難易度が高い手続きです。特に以下の点が関わってきます:

  • 地主との調整: 地上権を持つ住民と土地の所有者との間で、新たな契約を結ぶための合意形成が重要です。双方の利害が絡むため、合意が得られるまで時間がかかることもあります。

  • 法的・技術的な問題: 権利の変換には複雑な法的手続きが必要であり、専門的な知識や手続きの管理が求められます。また、建物の構造や老朽化具合なども影響するため、リスク管理が重要です。

  • 住民の合意形成: 住民全員の同意を得ることが必要です。合意形成には多くの時間とコストがかかり、複数のステークホルダーを調整しなければなりません。

④ マンション建替え事業の将来性

マンション建替え事業の将来性は、今後も非常に高いと予測されています。その背景には、以下の要因があります:

  • 老朽化したマンションの増加: 都市部を中心に、1970年代から1980年代に建設されたマンションが老朽化しており、耐震性や設備の老朽化が問題となっています。これらの建物を建替える必要性が高まっており、マンション建替え事業の需要は今後も増加するでしょう。

  • 都市再開発の進展: 都市の再開発は進んでおり、特に東京都心では新しいインフラの整備や土地の有効活用が求められています。マンションの建替えによって、土地の価値向上や、新しい住環境が提供されるため、都市再開発の一環としてマンション建替えは重要な役割を果たします。

  • 資産価値の向上: 古いマンションを建て替えることにより、新しい建物がより高い賃料や売却価格を実現する可能性が高く、所有者や投資家にとって魅力的な事業となります。特に、優れた立地にあるマンションは、建替えによって資産価値が大きく上がることがあります。

  • 法的整備の進展: 政府はマンション建替えに関する法整備を進めており、住民同士の合意形成を円滑に進めるための手続きや支援策が強化されています。このような法的支援により、マンション建替えが進みやすくなり、事業の実現性が高まるでしょう。

マンション建替え事業は、都市部の再開発や住環境の向上、資産価値の向上に寄与するため、今後も活発に行われることが予想されます。これにより、不動産業界での事業機会は拡大し、特に再開発に携わる企業にとっては重要な分野となるでしょう。

これらの要素を理解することによって、不動産業界での仕事に対する理解が深まり、将来のキャリアに役立つ知識を得ることができます。

コラム:建築費の高騰とアセットの新たな形態

お疲れ様です!本日は、建築費の高騰とそれに起因するアセット(オフィス、住宅)の新たな形態について記してみたいと思います。

まず皆さん、最近デベロッパー業界を悩ませている問題の一つに「建築費の高騰」があるのはご存知ですか? 建築にかかるコストには、大きく分けて、「労働力に関するコスト」と「資材に関するコスト」の2つがあります。さて、皆さん!このどちらが原因となって、「建築費の高騰」問題を招いていると思いますか。

答えは、なんと両方です。すなわち労働単価と資材価格の両方が上がってしまっていて、これがデベ業界を苦しめているんですね。なお、それぞれの価格が上昇してしまっている原因について言及します。

労働力に関するコスト上昇の原因:

・人手不足(建設業界は長年に渡って人手不足に悩んでいます。)

・働き方改革の推進(建設業界でも労働環境の整備が行われている。)

資材に関するコスト上昇の原因:

・世界規模での建築需要の高まり(東アジア諸国での建設市場の拡大。)

・ウッドショック*(コロナ禍が大きく関わる)

*ウッドショック:コロナ禍の影響で、木材価格が高騰している状態を表した言葉。

デベロッパー業界はどんな影響を受けている?

実際に、建築費の高騰とその原因がわかったところで、具体的にデベ業界がどんな影響を受けているのかについてみていきましょう。

日本経済新聞によると、進行中の再開発事業のうち、8割弱で完了時期の延期や費用の増加がおきているようです。やはり建築費の高騰が起こると、当初の予算の見通しとは状況が変わることで、竣工時期が遅れるということがあるようです。

その具体的な事例として、野村不動産の中野サンプラザ再開発について言及していきたいと思います。

中野サンプラザ再開発(野村不動産)

野村不動産が主導する中野サンプラザ再開発は、「建設費高騰」の影響を大きく受けている再開発事業の一つです。

この再開発は、建設費の高騰を背景に、事業費の高騰が課題となっていました。そのため、当初予定していた見積もりよりも多くの事業費を要することが判明しました。当初の事業費は、1810億円と見積もられていたものの、2024年1月には2639億円となり、同年9月には、設計・施工を担う清水建設の見積もりで更に900億円分の上昇が判明し、事業費がどんどん膨れ上がっていきました。結果的には、2025年の5月22日に、この再開発プロジェクトは白紙撤回となってしまいました。

建築費の高騰は、デベロッパー業界に大きな影響を及ぼしており、今後、デベ業界の未来を考えていく上での重要なキーワードになっていきそうですね。

今後の動向

「建築費の高騰」を原因として、社会にはどんな変化が訪れるのでしょうか。

マンション価格の高騰と、購入する層の変化

建築費が上昇していますから、それに伴って、マンション価格も高騰してしまいます。以下のグラフ「新築分譲マンションの平均価格/戸と上昇率の推移(首都圏)」をみてみると、近年特に、マンションか価格が高騰していることが分かりますね。

(以下5行は本記事とは少し逸れるので余談です。)

マンション価格の高騰で、社会に起こる変化の一つに、都心のマンションを購入する層の変化があります。これまでは中所得者も手の届くはずだったマンションが、どんどん高所得者にしか手の届かないものになってしまうということです。実際、パワーカップルと呼ばれる方々や、不動産投資目的の海外の富裕層が都内のマンションを買うという事例が出てきています。

アセットの高騰に対する対応

従来通りに、マンションやオフィスを提供し続けていては、それを利用できる層が減っていくばかりです。そのため、オフィスや住宅の在り方として、新たな形態が生まれてきています。どんなものかみていきましょう。

オフィス:

オフィスでは、賃料を少なくするために、リモートワークをさらに充実させることが考えられます。リモートワークを可能にすると、本社オフィスの床面積が小さくても成り立つようになるので、オフィス賃料の高騰への対策として機能しそうですね。

例えば、SoftBnakでは、在宅勤務(リモートワーク)を積極的に活用しており、竹芝にあるソフトバンク本社では、本社に勤める従業員数の半分程度の座席しかオフィスに設けていないようです。この取り組みは、従業員にとっては、柔軟な勤務を可能にしており、経営側としては、オフィス賃料を抑えることができている取り組みであり、とても先進的な取り組みですよね。

席数を従業員数の半分程度にしたSoftBank本社

住宅:

住宅の観点では、「共用部を広くし、各部屋を小さくすることで賃料を抑える」という取り組みもなされています。ここでは、野村不動産のTOMORE(トモア)品川中延について紹介したいと思います。

野村不動産株式会社は、このたび、賃貸住宅領域で新たに「コリビング賃貸レジデンス」事業に参入することを決定しました。 「コリビング賃貸レジデンス」は、シェア型賃貸住宅とコワーキングスペースが融合した住宅形態であり、今後当社は、 専属の運営スタッフ「コミュニティオーガナイザー※1 」によるコミュニティ運営付の職住一体・大型賃貸レジデンス 「コリビン グ賃貸レジデンス TOMORE(トモア)」(以下「本事業」)を開発・運営いたします。 アフターコロナにおけるワークスタイルの急速な変化、インフレによる都心部の家賃高騰等が進む中、20~30 代を中心とした単身世帯の「ひとり暮らし」に向けて、従来の賃貸住宅・シェアハウスでは叶わなかった新たな価値を提供していくことを目指します。 第 1 弾物件として、2025 年 2 月に、都営浅草線「中延」駅徒歩 1 分の地(東京都品川区)に総戸数 135 戸の「TOMORE 品川中延」が竣工します。今後も 1 棟あたり概ね 100 戸超の大型物件を首都圏中心に展開し、 賃貸住宅領域の新たな柱となるべく事業を推進してまいります。

TOMORE 品川中延 完成予想CGパース (野村不動産News Releaseより)

上記の通り、TOMORE品川中延では、「インフレによる都心部の家賃高騰」を背景の一つとして、共用部を広く設け、各部屋を小さくすることで、総戸数を増やすといった取り組みがなされています。

最後に

いかがだったでしょうか。様々な要因によって、建築費が高騰にともなって、アセットの価格も高騰し、オフィスビルや住宅においても、様々な対応を求められているようですね。今回はその例として、「従業員数の座席数を確保していないオフィス」や「共用部を広くすることで、各部屋をコンパクトにし、1棟あたりの総戸数を増やした住宅」を紹介しました。

「建築費の高騰」はデベ業界を悩ませている要因の一つであるため、知っておくと良いと思いますし、面接でも、業界理解の深さをアピールすることができると思います。

いろいろ書きましたが、この記事だけの情報を鵜呑みにすることなく、ご自身で情報を収集することも大切にしてほしいと思います。例えば、ソフトバンク本社の「リモートワークを推奨することで、オフィスを小規模化している例」について言及しましたが、このような流れもある一方で、日本では、「オフィス回帰」が進んでいるのも事実です。コロナ禍で縮小したオフィス需要は実は、現在徐々にコロナ以前の水準に戻りつつあります。

ですので、様々なことを情報収集していくということと同時に、自分の意見を形成しておくという練習もしていけると良いと思います。この記事が皆さんのデベ就活を進めるきっかけになっていれば嬉しいです。夏ISの時期となって参りましたが、まだまだ就活は始まったばかりです。応援しております!

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